ランドセル狂想曲 後編

 この続きは来月号!って、終わらせた後、明日続きを書き終えて、何かと忙しい8月をゆっくり過ごしてやる!って決心は脆く崩れ去り、夏休みの宿題を終わらせたと、8月初めに遊びに来た義理の妹の子供に驚かされ。31日の朝の時点で終わってたこと等なかった僕の、その息子からそんなセリフを聞ける気が全く予想できない。21日の夜を迎えた今!

 さて10分の1をやっつけたとこで続きを()ランドセル工房の候補を絞ることからはじめます。結構ですね関西方面に幾つかと、その他の地方にも魅力的な工房があったんですが、やはり直接手に触れられる都内で絞りました。あいにく神奈川県では探せなかったです。1.五十嵐製作所/2.スドウ/3.大峽製鞄/4.中村鞄/5. 土屋鞄  以上5箇所。

 これを1日で周る為に、無駄のないルートを考えるのに1時間!最終地点の閉店時間は18時。昼飯抜きでバイクを走らせます(因みに出来れば地元福岡で!と探したんですが、子供心にCMで凄く憧れてたウサギのマークの大隈鞄しかなく、、実際手にしたら値段に対してなんか魅力を感じなくて、まるで初恋の人に大人になって再会し、会わない方が良かった・・・みたいな身勝手な失望感!)

 という訳で最初の目的地

1軒目の『五十嵐製作所』

http://www.igarashi-kaban.com/

はっきり言って、これを読んで私も行ってみようかと早まった考えを浮かべたお母様方!本当に住宅街の路地裏で全くお客様を迎える環境ではありませんのでご注意を!

「ここにお店ある?と不安になる通り」

「ありました」

 やってる?と、不安になりながら大声で奥に向かって叫ぶ僕。すると年の功は70歳くらいの元気な女性が降りてきました。世間話を交えながら、そんな大先輩の女将さんに細かくディテールを聞くのも野暮に思えて来て、僕のコードバンに対する思いを一通りぶちまけた所で、因みにこれは?と指を刺すと

お母さん「ああ、これは去年のやつでね展示品になっちゃうのよ」

僕「これだったら少し安くなりますか?」って始めての息子の一生に一度のランドセルを展示品という選択肢が浮かぶ僕。

お母さん「よ~く見ないとわかんないんだけど、ちょっと傷があるのよね、まあ私たちじゃないとわからない程度だけど、ちょっとお父さんに聞いてみるから待って」

と社長に電話をかけてくれ

お母さん「4万円で良いってよ。」

僕「じゃあお願いしようかな」

お母さん「でも折角の坊ちゃんのやつだからね、勿論このベルトの部分は新しいのに交換してやるわよ。もっと綺麗なのがないか倉庫さがしてみとくから」

この何とも心温まる会話と、この後この炎天下の中あと4軒周ることが面倒になりお茶でもしてゆっくりしたいという誘惑に傾きそうな僕だったけど、若干金属パーツが好みじゃなかった点と、僕らしいと言えば、僕らしい製造所ならではのお得な買い物であるが、このタイミングでそれをやっていいのか?というなんだか解らない後ろめたさから一旦お店を後にする僕に。お母さん「なにこれサイドカー?奥さん怒ったでしょ?全く男ってのはいつまでもおもちゃみたいなのを欲しがって仕方ないわね。とりあえず奥さんと、よ~く考えなさい。」

と益々ここに決めたくなるような言葉で見送ってくれました。

 ここは、特徴を大袈裟に謳うような事は一切無く、良い仕事を淡々と長く続けられて来たのが、品物から確りと伝わって来ますし、実際大手デパートに卸してらっしゃいますので、それが何よりの信頼の証です。しかもデパートで買うより安い!更に去年のデザインなら、クラリーノ以下の価格でコードバンのランドセルが買えます。気になった方は僕が話を取り次ぎますよ。お声がけください。

 

 さて台東区から荒川を越えて葛飾区にある次の目的地へ

2軒目『スドウ』

http://randoseru.tokyo/

最初の五十嵐製作所でも、この地図間違ってんじゃない?と不安になったのに、それを更に上回る人けの無いエリアへと進んで行きます。

正に海抜ゼロメートル地帯を実感させる中川の防堤沿いを右に曲がった所に看板を発見!

「ショールームは更に奥」

店内に入りますと、エアコンは効いてますが、電気は付いておらず。万引きされたらどうすんだろ?でもランドセル万引きってあるだろうか?あるとしたら、その出来事の背景は悲しい物語があるだろうな、とか考えながら・・・

「誰もいない店内」

 

※※※※※※※※※※※※※※

ここからがオージャス通信の続きです

横の扉から機械の音がしてますので、職人さん達はそっちで作業してるんだろうと思い叫びます!「すみませ~ん」

すると、奥からおじさんが降りて来られました。

また同じように、ランドセルの思いを語ります。ここでは職人でもある社長自ら降りて来られましたので、色々とディテールの方も確認して行きたいと思います。

僕「こちらのランドセルは手縫いってどの部分に施されてるんですか?」

社長「お客さん手縫いにこだわるんですか!?」

いささか僕は機嫌をそこねるような質問をしたみたいです・・・

僕「いや~こだわるというより、よく手縫いって札が貼ってあるので、どの部分にどんな感じで手縫いされてるかな~と気になりまして」

社長「手縫い手縫いってまるで全部手で縫ってるかのように謳ってるけど、あんなんは職人から言わせると、ちょい縫いって言って、ミシンが引っかからなくやり難い部分だけをちょちょいと3,4針縫ってるだけなんですよ」

僕「そうなんですね、勉強になりました。しかしこちらは、コードバンの標準の価格が2万円くらいお安いですね?」

社長「そうね、いくらコードバンの値段が上がってるって言っても、なんでそんなに販売価格へ影響するんだ?ってくらい高くなってるもんね」

僕「社長のとこのランドセルの特徴というか他との違いってどんなとこですか?」もうまるでインタビューしてる気分ですが

社長「そうね、うちのは暗闇でも光って安全どか、そんな子供の事を考えてみたいな顔して、恐怖心を煽るようなやりかたと違って、大人が見ても格好いいようなそんな物を作ってるね。例えばこう言う高級鞄では当たり前のコバ塗りだとか、それとここでしか販売してない。俺の代で3代目になるけど、今まで散々有名なデパートとかから値段を叩かれてやってきたからね」

かなり恨み節入ってましたが、確かに親父さんが言うように、大したことのないような当たり前のことを、何10倍も大袈裟に表現する。僕も気持ちは充分にわかりますし、殆ど同感なんですが、そんな風にしてビジネスを勝ち抜いていってるのが世の常。勿論その商品と謳い文句が著しく乖離するといけませんが、そのギリギリを引き出していってるのでしょう。

「特徴的な背あて」

さて、こちらのランドセルのデザイン的な最大の特徴を纏めますとまずはこの背中のライン。後から振り返って気付いたのですが、ここ以外にこんな仕上げ方をしてるとこは他にはありませんでした。

そして、カスタムオーダーが出来て、その値段も良心的。ここがこれだったら・・・ってありますよね。そしてネームプレートも入ります。

「背あて、内張りそれぞれ色を変更できます」

「ステッチも色々」

とりあえず、ケツが詰まってますので、一旦こちらを失礼しようとしたところ、おもむろに、床に男性物の一目見て解る高級鞄が置かれてました。

僕「これはキタムラの鞄ですか?」

社長「そうね、今の時期はランドセルだけだけど、そんなのも頼まれて作ってるよ。サンプルで作ったやつだからその値段出してるの」

思わず。息子のランドセルを買いに来て、先に自分のを買ってしまう。という妻に一番叱られそうな事をしてしまいそうになりました()しかし正にこの工房の技術力を証明するシーンでした。時計もそうですが日本はヨーロッパに負けない技術力があります。

そして続いてはキング・オブ・ランドセルとして名高い『大峽製鞄』へと向かいます。

3軒目『大峽製鞄』

http://www.ohbacorp.com/ 

「王室御用達ですが質素です」

王室御用達ブランドとして知られるこちらのショールームはそんなに広くありませんが、近寄りがたい綺麗なお姉さまが出迎えてくれます。

大峽製鞄には総コードバンの商品も用意されてます。しかし総コードバンなんて20万しますから、勿論買わないのですが、これぞ1番という品物を見てみることは大切です。これを基準として比較が出来ます。勿論作りがいいのはわかります。お値段も、思わず僕が『お』とつけてしまったように、今までの2軒より3割増しくらいです。ラインナップも少なく選びやすい!

ザ・ランドセル!だとは思いますが、なんとなく僕に取って引っ掛かるいい意味での癖がなかったですね。正統派でお上品。なんとなく僕みたいなはみだし者とし生きてきた奴が買うような店じゃないという言い方になってしまうのかな・・・でもやはり絶対に手にして触って見るべきランドセルであることは間違いありません。そんな感じでした。

さて後半です。

4軒目の『中村鞄』

https://www.nakamura-kaban.net/

工房と一体型になった非常に綺麗なお店です。駐車場も沢山ありますし、街道沿いでわかりやすいです。最初の2軒のまるで来店するという想定をしてないんじゃないか?というお店と違い皆さんにとって買いやすい店です。

「お店正面」

「店内」

閉店ギリギリでしたが、職人の方に色々とこだわりを聞いてみました。

1.NASA開発のシャトルクッション。

勿論どの会社も背中の部分に入るクッションには6年間使ってもヘタらないようなウレタンのクッションが入ってます。このシャトルクッションなるものがどれほど優れてるのかわかりませんが。他にこの素材を使ってるとこは10社以上調べましたがなかったです。単純にこの素材は他のものより材料費として高いと思います。ゴアテックス生地みたいな特許製品ですからね。

2.A4クリアファイル入ります。

これはお母さん達が気にするポイントとして多くの声を聞きました。

3.背カン部分

いわいる首の根元のベルトが始まる部分の金具です。これば左右バラバラに動きますので、肩に対する負荷が軽減される。

それとこれは一番驚いたのが、その金具が薄いので、完全に背中のクッションに隠れて、一切背中の部分に当たらないのです。

この部分もここだけの特徴でした。

4.安全性

360度どの角度からも見えるように反射材が縫い込まれてますので、夜道も交通事故も安心です。

5.キザミ部分

鞄の角の革を細かく均一に寄せてひだを作り、美しい扇形に整えることを「キザミ」あるいは「菊寄せ」と呼びます。この部分は機械には難しく、つまりキザミは、細部まで作り込まれたハンドメイドの証しということです。

更に6年間保証はどこもやってますが、ここだけの他がやってないサービスが、代替ランドセルを先に出してくれることです。これによりランドセル空白時間がなくなります。これは大きい点だと思います。しかも送料は必要ありません。

以上。各部分のこだわりを1点1点ちゃんと掘り起こし、意識し、且つそれをちゃんとアピールできてました。

なので、話を聞くと物凄く納得できて、気に入ったし、値段も極端に高くなかったけれども、僕に取って譲れない部分が欠けてました。それはコードバン艶有りがない!ということでした。聞くところによると、艶ありは売れないとのことでした。ここは展示品のアウトレット品もありました。3割引適度で買えますが、最初の『五十嵐製作所』のような皺が寄ってるベルト部分だけ交換などというサービスはありません。

さていよいよ最後の土屋鞄へ向かいます。

本日ラスト『土屋鞄』

https://www.tsuchiya-randoseru.jp/

中村鞄から直ぐです。

ここは近年一番有名になったとこじゃないでしょうか。ストーリーをきちんと描いたWEB戦略など。アパレルブランドばりの広報活動で、成功した町工場のお手本みたいな会社です。

「お店正面」

ショールームは兎に角広い。そしてそこから工房が見えます。飲食店で言うオープンキッチンですね。軽井沢とい場所にショールームを開いた所も成功した秘訣の様に感じられますね。

ここまで書いてきて疲れて手抜きしてる訳じゃありませんが、殆ど全て抑えるべきとことは抑えてあります。

「店内」

ただ艶ありコードバンは少々高かったですね。

緑とかボルドーとかの黒以外の選択肢を僕が持ってれば、ちゃんとクラシックな部分を抑えつつ、上品な個性が打ち出せるものなど、デザインでコレだ!ってのが見つかる筈です。(これは土屋鞄のランドセル全てに言えます。カラフルな今時のもちゃんとクラシックから外れてないので安っぽくないのです。)

5軒目回って最終的にわかったことは、仕上がりの完成度にはそんなに違いはない!ということです。

凄く細かい部分を言えば多少の差があるかもしれませんが、100万円のオーディオと200万円のオーディオを聞き比べるほどの、残り1パーセントの僅かな違いを競うような、殆ど違わないと言っていいレベルでしょう。

「基本的に手縫いの箇所はこちらの2箇所」

そして、こちらも見るべきこだわりの部分である

①刻みこと菊寄せと

②コバ塗り

5軒を振返り

まとめに入りますが

1軒目、2軒目の工房は、普通のお母さん達には、立地も立地ですが、行きづらいし買い物しずらいでしょう。もちろんそう言ったとこにコストをかけてない分、値段は安いと思います。スドウに関してはオーダーの自由度は高いので自分なりの1つを仕上げられるという特徴もあります。

そして3軒目の大峽製鞄は言うなれば、銀座の最中の名店『空也』みたく、老舗としてのいい意味で、近寄りがたく、そっけなく、そして意外と地味。でも質実剛健みたいな歴史に裏打ちされた、この先何十年も変わらないであろう安定感があります。

そして4軒目と5軒目。ここらへんが一番バランスよくお求め易いのではないかと思いますね。中村鞄は歴史はあまり変わらないですが、ある意味で土屋鞄の後追いであり、だからこそそこを意識して製品のこだわりもさることながら、値段の面でも努力してますから、一番バランスが良かったと思います。

最後に一番伝えたいのは、色んな工房の色んな個性に触れてみて、結果見て触った結果ピンとくる自分の感性に従うべきだと。

僕がそんな細かいところまで把握し理解しようとするのは、感性に敢えて抵抗を加え、それを越えていくひらめきを感じたいからです。

さて、じゃあどこのランドセルを最終的に選んだんですか?

ってことでしょうが、その報告はもうちょっと引っ張りますよ。

実際ランドセルが到着してから、卓君にそのランドセルを撮影してもらって発表したいと思います。

それまでお楽しみに !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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