少しは涼しくなったかなと思ったのも束の間、また暑い日が続いてますが、8月の上映作品は
すばり【戦争について考える】
夏の終わりを感じながら、一年に一度くらいはちゃんと戦争について考えようという趣旨で、今回が2回目。
そして今年の作品は ・ ・ ・
『愛のコリーダ(L’Empire Des Sens)』
監督:大島渚
製作:アナトール・ドーマン/若松孝二
1976年 日本・フランス合作映画
上映時間104分
出演:松田暎子/藤竜也
戦争映画の名作が数ある中で、何故『愛のコリーダ』なのか!?
一番好きな監督の作品だからこそ、どれにするか悩み過ぎて結局上映してないのがあります。その一人である大島渚の作品を今回満を持してご紹介。
僕は幸運なことに亡くなる直前に本人を拝見することができました。それはバゾリーニのシンポジウムに車椅子でゲストとして参加されてました。
僕らの世代にとっては朝生で怒ってる爺さんくらいの印象ですが、紛れもなく権力と戦い続けた本当の芸術家であります。
さて今回の作品はどんな内容かと言うと、上映時間の8割はSEXシーンです。やってる場面がひたすら続きます(笑)そしてこれも有名ですが、本当に入ったり出したりしてます!
ここまで読んで、「なぜこれが戦争を考える作品なんだ、けしからん!」と良識的な方からお叱りを受けるかもしれませんが、それを観た人なりに考えて、改めて戦争というものを考え、この作品と結び付けて欲しいというのが、僕が今回この作品を選んだ意図があります。
この作品は、かの有名な阿部定事件を題材にしています。鰻料理屋で住み込みの女中として働いていた定が、店の主人と痴情の末に局部を切り取るという当時とってもスキャンダルな事件でした。
これが起きた昭和11年は北一輝の革命構想に心酔した陸軍皇道派青年将校による二・二六事件が起こります、そして翌年には日中戦争が始まり、第2次世界大戦へと発展していくのです。正に軍靴の足音が響き始めていた頃でした。
そんな全体主義が蔓延り始めた滅私奉公なる時代に、二人はその対極である私へと邁進していきます。
立川談志はこんな言葉を残しています。『落語とは人間の業の肯定である』「忠臣蔵の討ち入りした十七士じゃなく、逃げちゃった残りの赤穂藩士二百五十三人が、どう生きるかを描くもんだ。」と言いました。
そして当時大島渚は裁判の陳情でこの様に述べます。「これは芸術であるから猥褻ではないという主張はしない。もともと猥褻なるものは存在しない」
僕はこの作品を紛れもない反戦映画だと主張する。
さあこの作品を観て戦争というものをどう考えるかはあなた次第
これを観ずに死ねるか!
8/25(土)開演19:00 入場無料!
(5分前にはご来場ください)
開場:ヨガオージャス武蔵小杉スタジオ
食べ物飲み物持込OK! 会員様以外もOK!
お友達やご家族もご一緒に楽しみましょう!!!
オージャス初めての方もお申込み可能です。
以下は
【あらすじ】※ネタバレ注意!
【二人の出会い】
二・二六事件が起こったすぐ後の1936年の東京。定は鰻料理屋の「吉田屋」で住み込みの女中として働きだした。ある晩女中仲間に誘われ、店の主人の部屋を覗いたところ、店の主人である吉蔵とその妻トクが正に情事の最中でした。定はそんな二人の様子を興奮しながら眺めていました。
場面が変わって仕事中の定は、店の女中頭から「女郎上がり」と侮辱されます。そして激怒した定は包丁を手に暴れ出しました。
その騒ぎを聞きつけ吉蔵はその場を収めます。
その日を切っ掛けに仲良くなった定と吉蔵は互いに惹かれ合っていきます。そして2人はトクの目を盗んで情事に溺れるようになりました。
しかしトクはすぐに2人の関係に気が付きます。暇を貰いたいと部屋を訪ねた定に対して、当てつけの様にトクは、吉蔵との情事を見せつけるのです。やがて定はトクをカミソリで殺害する幻想を描く程の嫉妬を覚えるようになりました。
【淫蕩の日々】
定は吉蔵は二人だけになれる場所を求めて吉田屋を出ます。そして待合に部屋をとり、芸者達に囲まれて擬似的な結婚式を挙げます。
2人は芸者の前でセックスを始め、芸者の方も思い思いに享楽に耽っています。
吉蔵に夢中の定は、一時も彼を離そうとしません。特に吉蔵の性器を気に入っており、セックスの時以外も握ったり咥えたりして、起きている間中ずっとそれに執心していました。
「私のものだよ」と愛おしそうに告げる定。しかしそんな二人の生活はあっさりと金欠の危機に見舞われます。
そして金を工面するため、定はパトロンである校長先生の元を訪ねるのです。
その間吉蔵は1人じっと定の帰りを待ちました。ほとんど食事をしない吉蔵を心配した待合のおかみは、定が戻って来る前に逃げ出してはどうかと提案します。しかし吉蔵は心配する女将に対し無言で体を弄びました。
その頃、校長先生に抱かれた定は突然「私をぶって」「ひっぱたいて!」と叫びます。校長先生は言われるまま
に定を叩きますが、定は満足しませんでした。
そして吉蔵の元に戻った定。二人は離れていた時間を取り戻すかのように淫蕩の時間を再開します。吉蔵から離れていた時間のことを聞かれた定は校長先生に「ひっぱたいて」と言ったことを教えます。そして吉蔵は自分を引っぱたくように命令します。
定は叩きながら吉蔵とのセックスに耽るのでした。
【愛欲の果て】
吉蔵を独占したい定は、鋏を持ち出し吉蔵の性器を切り取ると脅し始めます。吉田屋に戻っても絶対にトクを抱くなと脅す定。吉蔵は笑って約束します。
吉田屋にへ帰った吉蔵は、勿論妻のトクを抱きます。そして定の元へ吉蔵が戻って来ると、嫉妬した定は包丁を振りかざして襲いかかります。吉蔵は笑って彼女をいなし、また部屋に篭って抱き合う日々が始まりました。
情事の最中首を絞めると気持ちが良いと聞いた定は、その最中に吉蔵の首を絞めるようになりました。二人はその空間にある温もりを醒まさないよう掃除も拒み、体を洗うことも拒みます。
定がまた金の工面のため校長へ会いに行きます。その間、吉蔵は散髪に出かけます。その帰り道、戦地へと向かう軍人たちとすれ違います。吉蔵は鉛を飲み込んだような曇った表情を浮かべるのです。
そして二人の行為は次第にエスカレートし、定は吉蔵の手首を縛り上げて腰紐で彼の首を力いっぱい絞めます。首を絞めながらすると気持ちが良いと定は笑い、吉蔵も喜んで受け入れます。吉蔵は定にその身の全てを委ねます。そして二人の甘美な遊戯の時間は、夢現のまま吉蔵の永遠の眠りにより終わりを迎えます。
定は眠りから覚めると吉蔵が死んでるのを確認します。そして包丁を取り出し、仰向けに横たわる吉蔵の遺体から性器を切り取ります。
血まみれの吉蔵の隣で幸せそうに微笑む定。吉蔵は永遠に定のものになりました。
「日本の映画監督で一番好きなのは誰?」って聞かれたら、僕は躊躇なく大島渚と答えます。
散髪した帰りのこのシーン。藤竜也のこの表情に今回のテーマ全てが集約されています。
今からオチンチン切り取らせて頂きます。 主演の松田 英子。寺山修司の「天井桟敷」活動した後、ATG作品や日活ロマンポルノに出演。決して美人じゃないんだけど、何故か男を引き付ける雰囲気があるんだよね。女の人にはわかるまい!