【2016/6月号】アメリカ大統領選の行方、その背景に潜む世界の憂鬱

とうとう、ドナルド・トランプ氏が共和党大統領候補としての指名獲得が事実上確定した。

トランプ氏についての批判は扨置き、アメリカの国民から圧倒的な支持を得ていることは紛れも無い事実である。そしてもう1つの流れである民主党のサンダース候補との共通点は、極右と極左というまるで対極にあるかの如く存在する二人の共通点を見出すことにより、現代アメリカが抱える問題を伺うことが出来る。

リーマンショックの後に2011年『ウォール街を占拠せよ』との掛け声の元に集まった都市部の若年層、そしてトランプを支持する白人中間層の不満が泡沫候補であった両氏の躍進を手伝った。この問題は先進国が潜在的に抱える問題を露呈させ、難民問題に揺れるヨーロッパでは、より一層その勢いを後押する結果となった。

そして止めを刺すかのように曝された『パナマ文書』の流出問題。所詮は清濁併せ呑む社会にあって、健全な刺激としての極端な流れは、バランスを取る上で重要なことだが、国民の圧倒的な支持であったとしても、ポピュリズムの暴走とは、最終的に、それを支持した国民へと帰ってくるという皮肉は、最悪の悲劇で幕を閉じる。

勿論事実上、トランプ氏が大統領になるには数多くの乗り越えなければならない課題があるし、やはり最後は女性初のアメリカ大統領の誕生で幕引きとなるであろうが、この状況がその後の政権運営を大きく左右することは間違いない。その影響が健全な形で機能し、神の怒りによって踏み潰される『怒りの葡萄』が多くの健全な国民とならないことを願いたい。

そして権力者や1%の富裕層が、ヨガの教えに耳を傾け、愛と慈しみの精神を持って、より良い社会への舵取りをし、この状況が少しでも良くなるように願いたいと思います。