【2020/3月号】 今月はゆか先生をご紹介!

 親愛なるゆか先生。不精なる私を、その存在でアーサナよりも姿勢を正してくれる。凛とした魂を包み込む柔らかでふんわりとした装いは、この無機質な空間を香草の芳しさで満たしてくれる。毎年節目の時期になると、欠かすことなく私達に感謝の言葉を届けてくれる。私はその侵されざる聖域をいつもこの場所から見守りましょう。この10年もそうであったように、これから先もずっと、、、麗しい睫毛の上で重力から解放された眠りを夢想しながら。

Q.先生がヨガに出会った切っ掛けは?

きっかけを忘れるほど昔から伏線があって、それを回収したのがハタヨガの本でした。体を動かしたかったのと、スピリチュアルな世界に惹かれていたためヨガにたどり着きました。

Q.ヨガを始めて変わったことは?

自分の感情に正直になりました。とてもシンプル。

Q.小さい頃はどんな子供でしたか?

空想好きでいつか本当に魔法が使えると思っていました。そんな一面もありながら 内向的というより走り回るのも好きだった記憶。というか、そんなに覚えてます小さい頃の事って?

Q.好きな食べ物は?

チョコレート、カレー、お豆腐、納豆、そして東京會舘のマロンシャンテリー!

Q.おすすめのお店やお気に入りの場所があれば教えてください

帝国ホテルプラザ→お化粧室が綺麗だし、人も少ない施設なのでゆっくりできて好きです。
下北沢のクリパルジャパンとアメリカのクリパルセンター→私にとっての聖地。

Q.好きな本や音楽・映画、最近みたお勧めでも!

こちらはオタクの戯言です。

長文ですのでご興味ある方のみどうぞ!

「オペラ座の怪人」25周年記念公演

ミュージカル「オペラ座の怪人」は、舞台の事もよく分からない高校生の頃に初めて1人で観劇した作品で、私の人生を語る上で切っても切り離せない存在です。初観劇後、若い私には到底抱えきれない感動で体が震え、ずーっと音楽が頭の中に流れ、どうやって帰宅したかも分からないほど放心状態になりました。それからは、ひとりで作品の追っかけをして全国津々浦々だけでなくウェストエンドにブロードウェイへも。原作も何度も読みました。パリで実際のオペラ座に入った時には大好きな世界の原点に立てた感動で泣き出すという変態っぷり。
重ための愛を注いできた思い出の作品です。
さて、ご紹介の映画は、いわゆるシネマ歌舞伎みたいな感じで、映画として撮られたものではなく、25周年を記念して2011年にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた特別公演を映画のスクリーンで上映されたものです。
主演のラミン・カリムルー様は今まで観たロイド・ウェバー版の「オペラ座の怪人」において私の中のベストオブファントム!!
圧巻の歌声はもちろんですが、お芝居心がある方で指先までもが美しく繊細で怪人の哀しさを表現しているのが最高なのです。言ってしまえば、お顔に醜さを持って生まれてきたおじさんが愛を拗らせて色々やらかしてしまうお話なんですけども、彼の全てを許してあげたくなるような不器用さと哀愁ある背中。特にラストシーンで猿のオルゴールに向かって歌う姿は涙無くしては観られない!!最後の絶唱に至っては、もう私をどうにでもして下さいと言ってしまいそうな程とにかくええ声なんです。感動の涙で私の顔面こそ人様にお見せできない状態になります。

オペラ座の怪人はガストン・ルルー原作の小説で色々な映画作品がありますが、残念ながらほぼ超B級。びっくりするほど超B級。原作(もB級だけど)通りで良いのに、なぜこんなにも珍作ばかりなのか意味が分かりません。やはりこの作品を有名&アカデミックなものにしたのはロイド・ウェバー版ミュージカルだし、実際に「オペラ座の怪人」といえば原作ではなくこちらを指している事がほとんどでしょう。
オペラのような楽曲の数々の中で「The phantom of the opera 」は作品を観たことのない方でも聴いたことがあるはずです。
ミュージカル映画としてはジェラルド・バトラー主演の同作品が2004年に公開されていますが、彼の怪人は私にはややセクシーすぎました。いや、好き!好きだけど!でも、違うの。それが彼の素敵な所なんだけれど私が欲しい怪人象とは違うため、やっぱり 断然ラミン様をおすすめします!
もし原作に近い作品を見たいならロン・チェイニー主演のサイレント映画が良いです!サイレントゆえの美しさと醜さとリアリティがあってとても好きです。彼の怪人なら私も逃げたくなること間違いない。
ちなみに、オペラ座の怪人の続編がありますが、読み終えた本を投げ捨てたくなったほどの駄作。同じくロイド・ウェバーの作曲でミュージカルにもなっていますが…やはりこの作品はどこまでもB級なのかもしれません。
もう1つはミュージカル「ファントム」ガストン・ルルーの小説を下敷きにプロが書いた同人誌的作品がスーザン・ケイ原作の「ファントム」。こちらは、1990年代にアーサー・コピット脚本でイギリスで製作されたドラマがあり日本でもNHKで放送されました。
内容は違いますがタイトルはファントムではなく原作通りですが、本っ当にひっどい作品です。B級ホラーのガストン・ルルー版よりヒューマンドラマとして描かれていますが、主要登場人物全てがろくでもない救いようのないお話です。その分突っ込みどころ満載なので、ある意味面白いのですけれど。
この作品もミュージカル化されていますが、1980年代に大ヒットしたロイド・ウェバー版と時期が被ってしまったため スポンサーがつかなくなり、ブロードウェイでの上演が叶わなかったと聞きます。じつは、サラ・ブライトマンがヒロインの予定だったとか!?今の活躍を見るとロイド・ウェバー版に出て正解でしたね。
さて、このろくでもない人間たちの集まりのお話を(変わらず突っ込みどころ満載だけど)とても素敵と思えるまでの作品に変えてくれたのはモーリー・イエストン氏の、役の心情に寄り添う楽曲によるものが大きいです。それはほぼ同じストーリーのドラマ版を観るとよく分かります。美しい旋律が耳に優しい。

私のおすすめは2018年〜2019年に上演された宝塚歌劇雪組版です。
日本では2004年宝塚で初演されてから3度の再演、梅田芸術劇場主催で男性俳優さん主演で4度上演。そもそも脚本がアレなので本当の歌うまでないとかなり厳しくて、これまでは曲は綺麗だけどそんなにしっくりと来ず、好きとは言い難かったのに、雪組版はまるであてがきかのような新しい作品になりました。韓国版のための新曲がここに追加されたのも大きかったです。骨伝導する歌声に1幕が終わった後もしばらく立ち上がれない上に、2幕は実質タダでした!!!
そして30年分くらい泣いた!!!震えた!!!
本当に同じ作品ですか!?と言いたくなりました。
「役が役者を待っていた」とはこういう事をいうのか!という程 魂を持っていかれた終演後。
日本のミュージカル史に残るであろう舞台の目撃者になれたという感動と、大人になって観劇歴もそれなりにあってここまで心揺さぶられる体験は、冒頭のロイド・ウェバー版の観劇初回以来かも。
そして今まで感じていた全ての違和感を、ねじ伏せるのではなく、自然と納得するものに変えてくれた役作り。純粋すぎて辛い。抱きしめてあげたくなるファントムを演じたのは望海風斗様。天使の歌声というか天使だったクリスティーヌを演じたのは真彩希帆様。お2人の歌声はいつまでも聴いていたい、というより浴びていたい。かなり高いレベルでお芝居と歌を融合できる方々なので、歌うまの概念を変えてくれましたし本当にファントムとクリスティーヌがそこに存在していました。ちょっと次元が違う。
宝塚ならではの「ファントムが美しすぎる件」は置いておいて、こんなにも幸せになって欲しい、生かしてあげたいと思えたファントムは初めてでした。この先私はもうこのお2人の「ファントム」以外観られないと思います。いつかロイド・ウェバー版を歌うのも聴いてみたい。
ブルーレイで販売されている宝塚大劇場ver.も充分良いのですが、更に歌声が進化しお芝居に深みが増した東京千秋楽ver.がおすすめです。とはいえ千秋楽は一般には出回っていないのでファンの方を見つけて、CSの録画を借りて下さい。

Q.最近ハマってること

ずっとスキンケア。ずっと探求中。

Q.死ぬまでに行きたい場所(一言フレーズ可)

ラミン様がまた怪人役をして下さるなら世界のどこでも観に行きたいです。

Q.生まれ変わったら何になりたい?

何だろ〜。うーん。考えたことないな〜。うーん。

Q.ヨガを通じて伝えたいことや教える上で大事にしてることなど

どちらにも言えるのは、自分自身であること。安全で安心であること。

主体は体験をするひとりひとりにある。というクリパルヨガのあり方が好きです。私たち教師側はあくまでそのサポートをする存在。練習やティーチングを重ね「答えは自分の中にある」と気付いてから、それは私の生きていく上でのブレない軸となりそこにある心地よい感覚もそうでないものも 正直な反応を大切にしようと思っていますし、クラス中にも皆さまにお伝えしています。

ある意味それは ウソがない という事かもしれません。

入れた知識や聞いたり読んだりした素敵な言葉をそのまま頭から口に出すのではなく、自分の中の体験レベルから言葉を伝える。どれだけ綺麗な事を言っても、分かる人には分かってしまいますから、それは本当に大切にしています。
また、安全で安心である。というのは、ポーズをとる時の注意点であるのはもちろんのこと、特にティーチングにおいては、明確でシンプルなリード。相手を尊重すること。そして、健全なバウンダリーです。距離感のことです。沢山の方と接するからこそ大事にしている部分です。クリパル仲間からはミス・バウンダリーと呼ばれています。

それでは最後にゆか先生からOJASの会員様へメッセージをお願いします!

このスタジオにお世話になり6月でまる10年になります。毎回笑いが絶えないクラス前。いつも私のドラマティックな日常の話を聞いて下さりありがとうございます。これからも変わらずクリパルヨガオタクな私をどうぞよろしくお願いします!